過去ログ - まどか「無限の中のひとつの奇跡」
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332: ◆oQV5.lSW.w[sage saga]
2012/05/31(木) 02:29:56.11 ID:Or8Ms8YG0

落ちていく雨。その一粒一粒が、スロー再生でもかかっているかの様にはっきりと見える。
今の私は、それくらいに冴えている。
冴えたまま、惑っている。

命の天秤、そこでは罪も共に量られるべきなのか。量るとして、罪の軽重はどうやって決める?
今までの罪だけを量るのか? それともこれから犯すかもしれない、犯されないかもしれない罪も量るのか?
量らないとして――ひとつの命は、100の命より、軽いものであるだろうか?


――ひとつの命。100の命。100の命が撒き散らすかもしれない、1000の不幸――


分からない。そもそも私は、量り手として適切であるのだろうか……?


この、固まった指先……
相手が生粋の悪党で、他人の死など娯楽の対象としか見ない輩であったのなら――
迷いなど持たず、とっくに弾を撃ち出していたのだろう。
大義を語りつつも、無辜な命を躊躇無く手に掛け、顧みもしない者であったなら――
迷いつつもやはり、仕事は為していたかも知れない。

彼女は――悪と呼べるだろうか?
仮に悪だとして、彼女と同じく――私的な制裁で、不善と見た者に死を与えようとしている、私は?


――罪人は、罪人を石もて打つべきでは無い――



それに、もし彼女が本当に、私に告げた通りのことを為せるのだとしたら
今ばら撒いている、それ以上に呪いを消し去れるのだとしたら
新たな魔獣の生まれることが、無くなるのだとしたら――


まだ本当に契約し立てだったあの日、私の弱さは、臆病さは、そして自分の祈りに対する憾みは……
一人の男の子を、目覚めることの無い眠りへと追い遣ってしまった。
あの子の母親は、今でも――子供の傍らで、奇跡を求め、祈り続けているのだろう……


並榎カリン、彼女の力及ぶ範囲だけでも、もう二度とそんな悲劇が繰り返されずに済むのだとしたら――
それはまた、私の『理想』。
それが叶うならば、この身、この命なぞ、いくら捧げても構わない――
ずっとそう想い続けてきた、私の原点たる『理想』。


けれどまた、それは――
私の仲間達が皆、飢え死にしかねない事態を招く。
折り合いをつけ、仲良く共存していく、そんな未来を描くには――
彼女と私達は、あまりに離れ過ぎてしまっているから。



『正義』と『理想』、それぞれが迫る二者択一。
私はどちらを選び取り、どちらを切り捨てるべきなのだろうか?



――――――教えて、暁美さん、私はどうしたら――――――


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