過去ログ - まどか「無限の中のひとつの奇跡」
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4: ◆oQV5.lSW.w[sage saga]
2011/10/03(月) 23:40:45.16 ID:mLlw9Zym0
「状況は極めて思わしくないようだね。だが、君には資質があるようだ。
 それもとても強い素質がね」

不意に門柱の上から聞こえてきた言葉。
仰ぎ見た丁度その時、雷光が声の主を闇に浮かび上がらせる。
ネコのようなウサギのような、しかし見たこともない不思議な生物。
その耳から生えている、金色の輪を嵌めた房の様な器官は
『それ』が私達の世界にとっては、『異質な存在』であることを告げていた。

「手短に済まそう。僕の名前はキュゥべえ。君の名前は?」

ヒト以外の存在と会話をしている不思議。いえ、不思議を感じない不思議。

「――私の名前は、暁美ほむら」


――私は、こいつが何者なのか、知っている――


「暁美ほむら。見てのとおり、今は時間がまるで無い。
 だから言葉で説明する替わりに、直接情報を君の脳に送り込むよ」

腕時計を見る。日付が変わるまで、あと30秒を切っている。
ぽつり、ぽつりと、大粒の雨が落ち始めた。

稲妻、そして雷鳴、かなり近い。
閃光と轟音の中、知識のパズルが完成していく。

「いえ、それは無用よ、インキュベーター」

空が光る。数十体の白い巨人――魔獣の群れが、私達を取り囲んでいる。

「暁美ほむら、君は――」

春雷の驟雨の中、眼鏡を外して顔を拭い、目の前の『孵卵器』に、私は宣言する。



「――私は、貴方と契約する為に、今ここに居る」


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