過去ログ - 上条「なぁ。教えてくれよ。名前」一方「……忘れたっつってンだろ」
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976: ◆lWV9WxNHV.[sage saga]
2013/06/23(日) 15:18:50.94 ID:D5ECVx6C0

 家族、なんて。

 一方通行と打ち止めならともかく、そう年も変わらない、生きる世界も立場も違い過ぎる『禁書目録』と『幻想殺し』が。

 無理がある。
 いくらなんでも、無茶というものだ。

 将来、という自分達のような年頃の人間が何の気なしに口にする単語が、インデックスには怖い。

 いくら十万三千冊分の知識を持とうとも、未来のことはわからない。
 わからないということは、人類普遍の恐怖だ。

 けれど、これ以上何かを上条に求めるつもりはなかった。

 上条は、精一杯以上のことをしてくれている。
 溢れるほどの思いをくれる。大事に大事にされている。
 世界中探したって、自分ほどの幸せ者はそうはいない。

 ただ、何年か何十年か経って、この半年間だけを心の奥底に大事にしまって、生きていくのかもしれない。
 そういう覚悟だけを、ひっそり握りしめる。

「インデックス」

 静かな一方通行の声に、インデックスは少しだけ笑顔を強ばらせた。

「……ん?何かな、あくせられーた」

 失敗したなぁ、と思う。

 上条と違って、一方通行は聡い。
 いや好意のようなものには上条と同じく驚くほど鈍感だが、代わりに不安や怯えには敏感だった。

 いつも研ぎ済ませているからだろう、打ち止めのために。

「…………」

 じーっと赤い目が見下ろすので、インデックスは気合いを入れて笑顔を向ける。
 何か悟られただろうが、一方通行は心の奥に踏み入ることを躊躇う。
 こちらから話さなければ、敢えて触れて来ることはないだろう。
 いつもはとてももどかしく寂しい部分だけれど、今だけは助かったと。
 
 そんなことを思ってしまう自分がひどく厭わしい。とんだシスターもいたものだと恥ずかしくなる。
 もっと強くならなければならなかった。
 上条が全身全霊を掛けて守ってくれる姿に、恥じないような。

 ふと白い細い指が伸びて、頬を引っ張られた。

「ふみゅっ?ふぁにふうんらお!」

「ブッサイクな顔して笑ってンじゃねーよ」

「こら一方通行。インデックスも一応女の子なんだからそんな言い方ダメだろー?」

「ひひおーっへふぁんふぁんあお!!」

「すごい伸びるな……ガキだからか?ウチのガキもすげェ伸びるし」

「はは、インデックスってほっぺた柔らかいよな」

 不意に指が離されて、ぽよんと頬の肉が戻る。

「うーーッ……!あくせられーたのばか!!」




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