17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/09(日) 02:31:07.61 ID:IY+XuREbo
「ッ――――!?」
突如、莫大な質量をもって噴出した気配が確かな感触を伴って垣根に吹き付ける。
今の今まで彼女の笑顔の仮面の下に押し込められ続けていた想念がついに決壊する。
周囲の夜闇すら霞んでしまうほどの暗黒は濁流となって彼女の内から溢れ出した。
傲慢も嫉妬も憤怒も怠惰も強欲も暴食も淫蕩もない、純粋な殺意。
殺意。
殺意。
殺意。
他の何も入る余地がないほどまでに純度の高い殺意の嵐。
ただ純粋に『殺意』としか称しようがない。他のどんな言葉であってもそれを言い表す事などできはしない。
それは本来あるべき感情すらも否定して、機械を思わせるほどの単純さで垣根に向かって放射された。
「分かった。分かったわ垣根帝督。第二位、『未元物質』。
ああ、でも今はアイツがいないんじゃあ序列も繰り上がるのかしら。暫定第一位」
くすくすと。
可憐な笑顔を浮かべながらも、口調、声色、表情、仕草、その全てが溢れ返る志向とは乖離している。
表面ばかり美しく着飾った、まるで宝石箱のよう。
中にどんなものが詰まっていようと素晴らしい意匠はそれに一切頓着せずただその形を静かに誇るだけだ。
「そもそもさ、序列なんてただのラベルでしょ?
私もアンタもアイツも、最初からまったく違うんだからそれを比べる事自体が間違ってるのよ。
兎と鳥と魚と蛇を比べ合っても意味なんてないに決まってるのに。そんな事も分からないの?
馬鹿みたい。下らないものに一喜一憂しちゃって、他人を蹴落として手に入れたオモチャの勲章を自慢げに見せたってさ」
彼女は美しく笑い、優しい声色で言う。
「所詮アンタはアンタでしかないんだから、何も変わりっこないわよ。
俺は凄いんだー、強いんだー、学園都市最強の能力者なんだー。はいはいカッコイイわね。勝手にやってればいいじゃない。
でもさ、アンタ少しでも自分の下らない遊びに付き合わされる周りの事考えた事ある?
アンタがどれだけ素晴らしい人格者でも、それこそ聖人みたいな奴でもさ。自己満足のためだけに周りを巻き込んでんじゃないわよ。
そんな事も分からないの? 学校で習わなかった? それくらい中学生の私でも分かるわよ? 小学校からやりなおしたらどうなの?」
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