18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/09(日) 02:51:43.47 ID:IY+XuREbo
柔らかな唇から零れる言葉は全て殺意の塊だ。
その一音一音全てが『殺す』という意図を内包した呪いの響きを帯びている。
「一方通行はアンタのお遊戯に乗ってくれたのかもしれない。それはいいわよ。当人たちで楽しめばいいじゃない。
でもたったそれだけのために付き合わされる方は堪ったもんじゃないわ。あんまりじゃない?」
「テメ――本当に――」
写真で見た、あの眩しい笑顔の少女と同じモノなのか。
見た目だけは同じなのに、中身がまるで違う。
器だけそっくり同じコピーを作って中身だけ丸ごと入れ替えたよう。
その事実に本能的な嫌悪感を抱き脊髄の中を凍り付いた血液が駆け巡る。
そう。もしかしたら彼女こそが。
学園都市の闇に蠢く悪夢のひとつ。
クローン
いたいけな少女の皮を被った悪魔なのだと信じてしまいたくなる。
世界の裏側、悪意の深奥たる学園都市の暗部。
そんな地獄に身を窶した垣根でさえも彼女には遠く及ばない。
絶望の深度が違う。闇黒の明度が違う。
彼女の世界には救いなどあるはずもなく、光など欠片も存在しない。
もはや存在理由さえも失った生物の黒点。絶対零度の漆黒の炎がそこにあった。
「アイツの願いはきっと何よりも儚くて、どうしようもなく子供じみた、それこそ幻想みたいなものだったろうけれど」
闇に溶けるような黒の外套に収められた左腕が微動する。
「少なくともアンタみたいな奴が踏み躙っていいものなんかじゃなかった」
そしてこの時ようやく垣根は理解する。
彼女を穿った穴、その魂までも溶かし尽くし焼き尽くした少年の存在を。
「だから私はアンタを殺す。アイツの幻想を殺したツケを払ってもらうわ。
アンタ、アイツを殺したんだし、まさか文句なんてないわよね?」
そう言って彼女は怖気が走るほど殺意に濡れた笑顔を浮かべ優しく微笑むのだ。
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