過去ログ - 御坂「もう、いいや」
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39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/17(月) 00:04:27.86 ID:UVpNHGeEo
空間を稲妻が疾駆する。

水平方向への落雷というありえない現象。
音をも遥か後方に置き去りにして白雷は暗闇を割り、刹那で垣根へと飛来した。

空間そのものが炸裂するような大衝撃を受け大気が鳴動する。

莫大な音波と膨張した空気の衝撃によって周囲のビルの窓ガラスが残らず砕け屋内へと降り注いだ。
幸いにして――というべきだろうか。辺りに立ち並ぶビルに人の気配はない。

だが音そのものが暴力となるほどの一撃が、余波を全く顧みられずに打たれれば騒ぎとなる事は間違いない。

ただでさえ夕方には往来のど真ん中で超能力者が戦闘を行い、マンション一つが崩壊し、最新鋭機のヘリが電波ジャックによって強奪されている。
その上すぐ傍、廃墟となった研究所ではつい先ほど白井と砂皿による死闘が繰り広げられていたばかりだ。

警備員らはまだ現場に残っているだろう。だというのに周囲に轟く大音声を躊躇なく振り撒く。
御坂美琴は既に秘密裏に事を進めようなどとは微塵も思っていない。

しかし狂気に罹りながらも御坂は間違いなく正気だった。

我を忘れてなどいない。冷静な思考のまま、その思いを烈火の如く燃やしている。
凍り付いた炎という矛盾。それこそが彼女ら超能力者だけが至る事のできる境地。
その世界は自己の激情などで瓦解するほど柔なものではない。

理路整然と、完璧に計算されつくされた超常。
もはや一個世界を内包しているともいえるそれらは自身の感情すらも統制下に置き機械的なまでの完全さで世界を汚染する。

御坂は警備員など眼中にない訳ではない。
正しくリスクリターンを計算した上で――道に転がる小石ほどの障害にもならないと断じただけだ。


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