57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/26(水) 22:14:29.90 ID:q/3qikfIo
ざあああああ――――と大気が戦慄く。
御坂の後を追う影があった。
黒い波だ。闇夜に更なる影を落とし、雲霞の如く押し寄せる津波が彼女に縋る波濤がある。
それは砂鉄だ。
空き缶だ。折れ釘だ。螺子だ。硬貨だ。
鋏だ。時計だ。ナイフだ。ゴミ箱だ。パイプだ。
車止めだ。マンホールの蓋だ。ガードレールだ。鉄柵だ。
鉄板だ。自販機だ。自動車だ。鉄骨だ。
所有者が誰とも分からぬ道具が、公共の設備から引き抜かれた建材が。
およそ金属と名の付く物が、擦れぶつかり砕け合う轟音を立てながら空へと舞い上がる。
電磁の女王に従い大気を押し割り進撃する鉄機兵団。
そこに意思などなく、その身が微塵となろうともなお突撃する無敵の軍団が竜巻となる。
「は――冗談だろ、おい」
その技は昼間見た妹達の用いたものと同じだ。
だが規模が違う。圧倒的なまでに質量が違う。偽体の技はその千分の一にも満たない。
単純明快――物量攻撃。
戦場で最も有効とされる蹂躙制圧の具現がそこにあった。
「冗談? いいえ、これが現実よ。アンタの安っぽい幻想なんて私の現実には通用しない」
つい、と挙げられた手指が宙を舞う垣根を指した。
「――本家ってのはこういうのを言うの」
声と同時、全ての黒が光を纏い射出された。
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