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2011/11/13(日) 23:28:01.50 ID:x0RYZ4oc0
「……別に、ただの事実に基づいた推測ですの」
話に乗るのは躊躇われたが、混乱する頭を落ち着かせる時間を向こうから提供してくれているのだと割り切り、黒子はゆっくりと話し始めた。
「『何となく行ってみたい』、『美味しい物を食べたい』。そんな理由でこの街に入る事はできませんの。もし仮に貴方の許可証が正規に発行された物だとしても、初対面である私に目的を隠す時点で疑わしいですし。どちらだとしても、貴方を疑う理由はあれど、信用する理由はございませんわね」
ゆっくりと間を使いながら、それでも一息に黒子は話し終えた。
「……にゃるほど。こいつはマズったね」
対するトレインは顎に手を当て、納得した様な素振りを見せる。
しかしその表情に焦りや驚きは無く、虚勢では無い笑みを浮かべたまま、トレインの視線が黒子を射抜く。
自信に満ちたその視線に、黒子は思わずたじろいた。
「見逃してくんね?」
「……は?」
そして悪びれもせず臆しもせず放たれた言葉の意味が一瞬分からず、黒子は間の抜けた声を漏らした。
余りに唐突で滑稽なその台詞に黒子の理解は遅れ、そして理解すると同時に渇いた笑みがその表情を彩る。
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