75:1[sage]
2011/10/28(金) 03:01:39.27 ID:GklwqiGC0
「離れろっ!!」
初春が最悪の事態を理解すると同時に、トレインの発した大音量が響き渡る。
その瞬間、金属音と共にぬいぐるみの中心が歪む。
「――――っ」
咄嗟に、初春はぬいぐるみを捥ぎ取って放り投げた。
そのまま爆弾に背を向け女の子を守る様に抱き締める。
その様子を見て、美琴はスカートのポケットに手を突っ込み、常にストックしてあるコインに指をかけた。
(超電磁砲ならっ)
余裕で間に合う。そう確信して、ポケットに入れた手を引き抜く。
その瞬間乾いた金属音がして、美琴は自分の足元に目をやった。
「しまっ――――」
視界に入ったのは、無情にも指から抜け落ち床を転がる一枚のコイン。
だが、何より致命的だったのはそれに気を取られた一瞬。
落ちたコインをすぐに拾えば、間髪入れずに次のコインを取り出していれば。
間に合ったはずだった。だが、想定外の事態に美琴の身体は動かない。
「初春っ!」
涙子の悲鳴も、何もかも。
爆炎が全てを飲み込んだ。
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