26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]
2011/10/17(月) 23:10:13.66 ID:qWAlpae2o
#2 「せかいかん!」
その日、世界史のワークを近代ヨーロッパ文学まで終わらせると気づけばもう夜の八時過ぎでした。
窓の向こう側では十月の真っ白な月がこちらをのぞき込んでいます。
汗ににじんだ右手の小指側はもうシャーペンの芯やらなにやらで薄汚れています。
なんだか集中も切れてしまいました。おなかも空いちゃってたみたいだし。
私はペンをからっと投げて背中側に体重をよせ、ううーんと大きく伸びをします。
ちょっとイスの前足を浮かせてみたりして、転びそうな感覚を楽しんでみたり。
ってこんな風にゆらゆらしてるとせっかく覚えたことまで頭から落ちちゃいそうでこわいです。
あれ。『失われた時を求めて』書いたのってセルバンテスだっけ? うわ、ちがった!
直さなきゃ。わわ、修正テープどこだっけ? ああ、あったあった。
はぁ。なにやってんだろ私……こんなとこもし見られちゃったら、恥ずかしいな。あはは。
ふと見ると充電器につないでベッドに投げっぱなしの携帯が光っています。
あちゃー、メール来てたんだ……ぼすんとベッドに転がって、あわてて携帯を開きます。
澪ちゃんからでした。
『唯、ブログ更新されてた。
たぶん憂ちゃんが出てきそうだから、伝えた方がいいかもしれない。
それと、もし風邪引いたらお大事に。』
え……憂まで出てくるの? ていうか風邪引くってどういうこと?
むりやり受験勉強モードにして現実逃避していた頭が急に引き戻されます。
ブログとは、言うまでもなく数時間前に部室で話題になったあれのこと。
しぶしぶブクマしといた「おけぶいんSS速報!」を開きました。
トップページの最新記事には『まい「お姉ちゃんの代わりに部活にいかなきゃ」』というタイトル。
数時間前のことが頭をよぎったけれど、思い切ってその記事を読むことにしました。
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