過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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15:ny[saga]
2011/10/19(水) 21:10:54.72 ID:oNEfTHUU0
○
「教えてくれ、マリア」
アイリスの手を強く握り締めながら、大神は重く呟いた。
「先刻も言っていたが、狐憑きとは一体何なんだ?
いや、俺も狐憑きは知っている。それが我が国古来の妖怪の伝承だという事も。
だが……、それがアイリスと何の関係があるんだ?」
「そうですね……。本当は皆に聞かせるのはまだ早いのかもしれないけど……」
嘆息した後、マリアがアイリスを横目に言った。
マリアはアイリスにこの話を聞かせる事に反対のようだったが、
当事者抜きのそんな会議は好ましくない、という大神の案で渋々語っているように見える。
「前に言ったとおり、狐憑きとは突然人の人格が豹変してしまう事を指します。
それを古来の人々は狐の妖怪が憑いて、人格を豹変させていると考えていた。
ここまでは話しましたね?
近年、その狐憑きの原因が明らかになった。その事も話しましたね?」
では、その原因とは何なのか? 紅蘭?」
唐突に名を呼ばれ、紅蘭は驚いた様子であたふたと応じた。
「な、何やのん、マリアはん……」
「アナタも知っているでしょう? 狐憑きの原因を」
「せやな……。
ウチも開発を職としてる身やさかい、そっち方面にも自然と詳しくなるっちゅうもんや。
幸か不幸かは分からんけどな………」
「もういいではありませんか! 早く原因をお教えなさいな!」
堪え切れなくなったのか、すみれが声を荒げる。
いつも短気なすみれで大神は困らされるが、今回だけは同感だった。
マリアも紅蘭も、狐憑きの原因を言いたくないように見えた。
だから、大神はすみれの言葉に頷いた。
「すみれくんの言うとおりだ。マリア、紅蘭。
今は一刻を争うんだ。また、ポルナレフがアイリスの中に発現しないとも限らない。
その前に、対抗策を練っておきたい」
紅蘭が大きく嘆息してから、渋々言った。
「ウチらも単に勿体ぶってるわけやないんや。
でも、大神はんの言う事ももっともやもんな。
分かった。言うわ。狐憑きってな、簡単に言うともう一人の自分なんや」
「もう一人の自分……?」
「そうや。まだウチも詳しく知っているわけやないから、断定は出来んけどな。畑違いやし」
そこからの言葉はマリアが継いだ。
「続きは私が言います。もう一人の自分。
つまり、多重人格。専門用語で言うと、解離性同一性障害。
一人の肉体の中に何人もの人格が宿る精神病です」
精神病、という言葉を聞いて、アイリスが軽く反応したが、じっと沈黙していた。
「何人もの人格が宿るって……、
幽霊とかが入り込むんですか……?」
さくらが深刻そうな表情になって呟いたが、
マリアは大きくかぶりを振った。
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