過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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25:ny[saga]
2011/10/21(金) 19:16:55.35 ID:sT9PuPCN0
○
時計の音だけが、アイリスの部屋に響いていた。
皆には退室してもらい、大神はアイリスと二人きりでいた。
アイリスと二人きり。これが普段であれば、どれだけ幸せな事だったろう。
アイリスは何も言わなかった。
全てを分かっているのだろうが、何も言わなかった。
ぽつり、と大神は言った。
「アイリス……。アイリスに言わなきゃならない事がある……」
「うん……」
「アイリスは、病気なんだ。
それを治すためには、色々とアイリスに協力してもらわなきゃならない」
「うん……」
「だけど、それは………」
言葉にする事ができない。
言葉にしてしまったら現実になるようで、恐い。
アイリスを救う事。
それは『アイリス』を消してしまう事でもある。
どうにか言葉にしようと、大神は口を開く。
それでも、声が出ない。喉が渇き切っている。
熱い、身体中が。
時間はない。
一刻も早く、人格統合を実行せねば、
再び『ポルナレフ』が発現し、帝都も、アイリスも無に帰するだろう。
それだけは避けねばならない。
迷う事はないはずだった。
だのに。
『アイリス』との想い出が邪魔するから。
傍に居て、笑ってくれていた記憶が邪魔するから。
大神は何も言えない。
「お兄ちゃん……」
辛そうな表情。
だが、決心したような、そんな表情をアイリスが浮かべた。
「アイリスは……帝国華撃団だから」
はっ、とした。
アイリスはそういう子なのだと、今更気付いた。
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