過去ログ - 【遊戯王】デュエルターミナル史を書いてみよう
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:44:46.68 ID:zKvPwa9x0
這いよる巨体を前に、武士はまともに動けない。
その様子を見て初めて、風水師の脚は突き飛ばされるように動いた。
武士の下に駆けより、手を握って無理やり駆け出す。

「ごめっ……!武士っ!早く、早く逃げなきゃ!」
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:45:20.94 ID:zKvPwa9x0
武士の腹からにじみ出る朱色は少しずつ彼の命を蝕み、同時に風水師の正気を削り取っていく。
既に風水師の内面は錯乱状態に陥っており、一人ではまともな判断は出来ないであろう。
風水師を未だ正気の世界に留めているものは武士の存在に他ならなかった。
逃げる二人に迫る巨影。動くスピードこそ遅いが、しかし確実に近づいてくる。
早く、早くコイツから離れないと……!
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:45:51.06 ID:zKvPwa9x0
「対峙して分かったでござる。あれは……間違いなく、光の属性でござる。属性さえ分かれば、風水師どのなら結界が張れるでござるね?」

ひゅー、ひゅーという切迫した呼吸音の間を縫って、ゆっくりと武士が語る。
その表情からは既に生気が抜け始めてきた。
風水師は混乱した頭で、精一杯に返答する。
以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:46:55.00 ID:zKvPwa9x0

「……拙者はもう駄目でござる。さっきに一撃で内臓がやられてしまったでござるよ。だから……」

「拙者が自害してエネルギーを生み出すでござるから、風水師どのはそのエネルギーで結界を……」

以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:47:57.00 ID:zKvPwa9x0
一瞬あっけにとられた武芸者であったが、彼は笑った。
風水師の言葉に。彼女を守る、という己の使命に。そして、全てを司っているであろう神に。
決断した武士は困惑する風水師の手を握り、迫る巨体に背を向けた。
武士は己の成すべき事を想い浮かべ、そして。

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:48:26.41 ID:zKvPwa9x0
頷いた風水師は手負いの武士の手を引き、とにかく巨体から遠ざかる。
二人が隕石落下地点から逃げ出した時刻は深夜2時。
漆黒の闇と強烈なブリザードにより零視界となった雪原を、記憶だけを頼りに走り続けていく。


以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:49:16.07 ID:zKvPwa9x0
「はぁっ……はぁっ……!ねぇっ、武士っ!生きてるよね!」

「………もちろんで、ござるよ………」

二人は、走っていく。ただ、生きるために。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:49:50.83 ID:zKvPwa9x0
風水師は遠くでアレの動く音が聞いた気がした。が、すぐにかぶりを振って否定する。
そんなものは悪い妄想だ、幻覚だ。
アレの動きは遅い。私達は逃げ切ったのだ。
風水師の大脳は必死に感覚器官を否定する言い訳を並べていった。

以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:50:30.34 ID:zKvPwa9x0
二人で焼き芋を食べた場所。
風水師の手には既に感覚は無かった。
ただ、握っている手の形だけは分かった。
喋りかける体力も無い。
無言で、最早走っているとは言えないスピードで、それでも急ぐ。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[saga ]
2011/10/19(水) 18:51:26.09 ID:zKvPwa9x0
ついに氷結界の町の明かりが見えた。
風水師は狂喜する。
やっとだ、帰れる。帰れるんだ。早く、早く帰りたい。
逸る気持ちのまま、風水師は最後の気力を振り絞った。
ずるっ、ずるっ
以下略



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