3: ◆qwglOGQwIk[sage saga]
2011/10/20(木) 14:43:13.15 ID:nB24EvoIo
ゆらゆらと揺れる黄金色に囲まれた、その場所で。
赤色の頬を鏡に映し、その子は言う。
「すきだよ」
「わたしも」
ゆらゆらと、金色の風が私達を撫でる。
風を受けたその子が一層綺麗に見えた気がして、「あいしてる」などと背伸びしてみれば、
その子も私の袖を摘んで精一杯背伸びする。「わたしもだよ」
背の低い私達には、見えていないものは多かった。
でも、見えないものに気づけるほど視野が広いわけもなく。
目の前のその子を抱きしめることに精一杯だった私は、金の稲穂が少しずつ減ってきているのにも気づけなくて。
ひゅるり、と風が凪ぎ。
風に乗る金の粒は、私とその子のように、ぴったりとくっつく追いかけっこの関係に見えて。
時が流れ、その風が追いかける色を失うころ。
……私達は、少しだけ大人になった。
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