過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
1- 20
31:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:06:16.46 ID:aYv84ioOo
その日は、警衛や哨戒ではなく、武芸の訓練に当たることになっていたから、
私は意識的にそれに集中することで現実から目を背けた。

安直な逃避。人はそう指摘するだろう。
しかし、私は自らの殻に閉じこもり、目と耳を塞ぐことしかできなかった。

結局、私は信用されていなかったのだろうか?
「私のことが好きですか」という問いに意味はなかったのか?
私は姫様の「最も信頼の置ける侍者」ではなかったのか?

気を抜けば、極めて不条理なものまで含んだ、無数の疑念が胸の空洞から心に入りこんできた。
私は雑念を薙ぎ払うように剣術の手合わせに打ちこんだ。

姫様には姫様のお考えがあるのだ。私が何を悩む必要があるだろうか。
前提からして、私のような賤しい出自の者が姫様に夜伽を任されたのが間違っていたのだ。
私は、特別な存在になれたと独り合点し舞い上がっていただけ、ただ、それだけだ。

ふと我に返ると、私は対戦相手の喉元に模擬刀の切っ先を突きつけていた。
怯えきった眼をした相手が、女騎士様、と震えた声で言った。
見れば、その場にいた全員が動きを止め、驚いた様子で視線をこちらに向けていた。

その日の訓練は、そこで終わった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
84Res/75.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice