過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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63:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 22:43:50.69 ID:aYv84ioOo
このようなやり取りが、昨日の夜、ここで行なわれたのではないか。

もちろん、全ては憶測の域を出ない。
しかも、この憶測は、「女騎士」の物語が事実であるという、さらなる憶測の上に成り立っている。

言いかえれば、この話は、私自身が創作したひとつの『物語』にすぎないのだ。
私は、ある『物語』から、また別の『物語』を生み出しただけだとも言えるだろう。

それでも、私は、私のこの『物語』が真実だと思いたい。
この世界には、ドラマチックなハッピーエンドが実在すると信じたい。

だから、私はゴミ箱から便箋を拾い上げる。
そして、くしゃくしゃになったそれをきちんと引きのばすと、部屋を照らす蝋燭にかざした。
またたくまに炎は紙を飲みこみ、机の上で灰色のもえかすになった。

誰にも読まれてはならない物語。
連なる文章に、意味を見出してはならない話。
存在してはならない記号の羅列。

私はあるべき場所に、便箋をしまったのだ。

そう遠くない未来、「女騎士」はこの宿に再び現れるだろう。
人目に触れてはならない物語を回収するために。

そして私はこう言うのだ。
『便箋ですか? どうだったかなあ。きっと燃やしてしまったと思います。
 内容? なにか大事なことが書いてあったんですか?
 すみません、私、文章を読むのは苦手でして』

安堵する「女騎士」の顔が、私の頭に浮かんだ。



――了――


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