13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/10/22(土) 00:20:32.28 ID:9yuxyDT00
辛うじて出た言葉はそれだけだった。
これ以上ヌメリとした蛇の体をまとわりつかせまいと、律はありったけの勇気を振り絞り、ぎこちなく扉の方へ顔を向ける。
……
返事はない。
だが、木製の扉を隔てたその先には必ず誰かがいる…
そう感じさせるには十分の気配がそこから発せられていた。
それは、彼女がこれまでに感じてきた、どのような気配とも異なる歪なものだった。
そこには人の温かみというものが存在していなかった。
生気が感じられなかったのだ。
生気はなく、しかし確かにそこに存在を主張している、只々冷たい気配…
この只ならぬ気配の正体を確かめるべきだろうか…
いや、自らの保身の為、このまま“ヤツ”が去るのをじっと待つべきか…
しかし、このまま時が経てば“ヤツ“が立ち去るという保証がどこにあるのどろうか?
ヌルリ…
不快な感触が再び動き出す。
それが引き金となり、律の体は動き出した。
最早感覚の無い脚に力を込め、椅子を引き立ち上がる。
体にまとわりつく蛇を振り払い、扉を睨み付ける。
意を決して扉の方へ一歩、歩き出そうとした瞬間、バァーン…という大きな音と共に、扉が開かれた。
さわ子「チョリーッス」
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