33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/10/22(土) 01:01:17.99 ID:9yuxyDT00
澪「あ…あっ…」
澪は茫然自失していた。
頭の中が真っ白で、思考が上手く働かないでいた。
目の前には、一昨日聞いてから恐れ続けていた“リリーちゃん”の姿があった。
その姿は話に聞いていたよりも数段恐ろしく、おぞましかった。
全身が古びた包帯で覆われており、その包帯には火傷の出血による血が染みつき渇いていた。
乱雑に巻かれた包帯の隙間からは焼けただれた醜悪な皮膚と、焦げ付いて灰色となったボサボサの髪が覗いている。
生前、トレードマークだったらしい黒いワンピースは無残な程ズタズタになり、ワンピースとしての形状を保っていなかった。
脚の指先は上手く包帯で巻かれておらず、露出したその指からは爪が剥がれ落ちていた。
神の悪戯でこのような醜悪な姿となってしまったかつての人間。
人にして人にあらざる者となった彼女の腕は、幼馴染の首を強く締め上げていた。
澪(り…つ…いやだよ…)
できる事なら、目の前で苦しんでいる幼馴染を助けたかった。
だが、体がいう事を聞かない。
叫びたくても声がでない。
いくら力を込めようと、彼女の四肢はガタガタと震えるだけだった。
目の前の“リリー”は、腕の力をますます強め、律の体を宙へと浮かせた。
澪(やだ…このままじゃ…律が、死んじゃう…)
体の動かぬ澪は、その光景を見ていることしかできなかった。
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