5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/10/22(土) 00:00:49.80 ID:9yuxyDT00
3人の友人たちと別れを告げた後、二人きりとなった道中で、澪は自分よりほんの少し前を歩く律の背中を見つめていた。
自分よりも小さなその背中は、いつだって何よりも頼もしかった。
小学生の頃、隣のクラスの男子に虐められたとき…
作文の発表のとき…
初めての文化祭の前、緊張していたとき…
助けてくれたのはいつも律だった。
思えば助けられてばかりで、自分は何か律の支えになれているのだろうか…
そう考えながら歩いていると、律が振り返り、こちらに向き直るのが目に入った。
律「着いたぞ」
いつの間にそんなに歩いたのか、家まで辿り着いていたらしい。
澪「あぁ…わざわざありがとうな、律」
律「いいよ別に。お化け怖いでちゅもんね〜」
澪「うるさい!! …じゃあ、また明日」
律「うん。じゃーなー」
澪(……)
澪はすぐには家に入らず、少しの間、律の後ろ姿を眺めていた。
頼もしいその背中は次第に小さくなって行き、やがて夜闇に消え、見えなくなっていく。
律の後ろ姿を見届け、澪が自宅の扉に手をかけたその時、ぽつん…と彼女の頬に冷たい水滴が当たった。
空を見上げると、月を取り囲むかのように雨雲が浮かんでおり、小雨を降らせているのが見えた。
どんよりとした雰囲気を醸し出す月の涙は、すっかりと暗くなった辺りと相まって、澪の恐怖心を一層煽った。
62Res/69.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。