117:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:46:56.11 ID:CGXDMCHp0
「異常変質心理壁であることは間違いないと思うけど……中枢どころか、心の外壁にさえたどり着いてないことは確かだよ。十五分じゃ間にあわないと思う」
『間に合わせろ』
「……最悪」
毒づいた彼女の目に、後方の平原が、空ごと……つまりその空間そのものが、ブロック状になって、下方に向かって崩れ落ち始めたのが見えた。
「……訂正。間に合わせなきゃ。精神構造の崩壊が始まったよ。この人、もうじき死ぬね」
『知ってる。承知の上での治療だ』
そこで、汀の右後方の男が奇声を上げて宙に飛び上がった。
実に二、三メートルもふわりと浮き上がり、六本の刀で汀に切りかかる。
汀は、おぼつかない手つきでそれを一閃して弾いたが、小さな体が押されて後ろに下がる。
そこで、突き立っていた刀で背中をしたたかにこすってしまい、彼女は
「痛っ!」
と叫んで、一瞬硬直した。
背中からたちまち血が溢れて、流れ落ちる。
『どうした?』
圭介に対して
「何でもない。大丈夫!」
そう答えて、汀はまた切りかかってきた男の刃を避け、地面を転がった後、少女とは思えない動きで一気に間合いを詰めた。
そして男の首に、日本刀を突き立てる。
頚動脈を一瞬で切断したらしく、日本刀を抜いたところから、凄まじい勢いで血液が噴出し、汀に降りかかった。
返り血でドロドロの真っ赤になりながら、汀はトドメとばかりに男の胸に、もう一度刃を突き立てた。
それを抜くと、蜘蛛男の一人はビクンビクンと痙攣しながら、その場に仰向けに倒れた。
突き立っていた刀の刃が、後頭部から口に貫通して串刺しにする。
十二人になった男達は、血まみれの汀を見て、楽しそうに笑い声を上げた。
切られた蜘蛛男の体が、粘土のように溶け、地面に流れる。
それが、今度は二人の蜘蛛男の形をつくった。
一人から、二人に増えて十四人。
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