135:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/23(日) 18:13:34.50 ID:VvTHD4vM0
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汀が目を覚ましたのは、それから一週間経った夜中のことだった。
しばらくぼんやりしていたが、苦しそうに呼吸器を外し、何度か咳をする。
そして汀は、ナースコールのボタンを押した。
しばらくして、寝巻き姿の圭介が、駆け足で部屋に入ってきて、電気をつける。
「汀、目が覚めたか」
「圭介……」
汀はぼんやりと答えて、首をかしげた。
「私、どうしたの?」
「急に具合が悪くなったんだ。それだけだ。気にするな」
「何だか、すごく疲れた……」
「無理するな。今、クスリを持ってきてやる」
「圭介」
汀は彼の名前を呼んで、言った。
「なぎさって、誰?」
問いかけられて、圭介は一瞬停止した。
「岬ちゃんって、私の友達だよね?」
「誰の話をしてるんだ?」
圭介は汀に向き直り、ポケットから金色の液体が入った注射器を取り出した。
それを汀の点滴チューブの注入口に差込み、中身を流し入れる。
そして彼は、微笑んで汀の白髪を撫でた。
「俺はそんな子、知らないな」
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