137:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/23(日) 18:15:10.37 ID:VvTHD4vM0
*
女の子は目を覚ました。
ぼんやりとした頭のまま、周囲を見回す。
見慣れない病室。
見慣れない人達。
髭が特徴的の人が、にこやかに笑いながら、彼女に言った。
「私達が分かるかい? 分かったら、返事をしてくれないかい?」
女の子は頷いて
「……分かります」
と答えた。
髭の男性の後ろで、腕組みをしたメガネの男性が、壁に寄りかかって資料を見ている。
「私の名前は大河内。君の主治医だ。先生と呼んでくれればいい」
髭の男性に助けられて上体を起こし、彼女は猛烈な脱力感の中、ぼんやりと彼を見た。
「せんせ?」
「ああ、先生だよ」
「ここは、どこ?」
「赤十字病院だよ。君は、大きな事故に遭って、ここに運ばれてきたんだ。覚えてるかい?」
女の子はそれを思い出そうとした。
しかし、頭の中が空白で、何かガシャガシャしたものが詰まっていて、それが邪魔をして思い出せない。
「私……名前……」
「ん?」
「私の、名前……」
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