138:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/23(日) 18:16:09.05 ID:VvTHD4vM0
それが分からないことに、女の子は愕然とした。
大河内は少し押し黙った後、何かを言いかけた。
しかし後ろの青年が、資料を見ながら声を上げる。
「汀(みぎわ)だ。苗字は、高畑」
「たかはたみぎわ?」
「ああ。お前は、俺の親戚だ」
資料を閉じて、メガネの青年は彼女に近づいた。
「俺は高畑圭介。圭介と呼んでくれていい」
「私の親戚?」
「そうだ」
「お父さんと……お母さんは?」
問いかけられ、圭介は一瞬苦い顔をした。
しかしすぐにもとの無表情に戻り、彼女に言う。
「お前に、お父さんとお母さんはいないよ」
「いないの?」
「お前が小さい頃、事故に遭って他界した。それからずっと、お前は俺と二人暮しだ」
「私、どうしたの?」
「大型トラックに撥ねられたんだ」
「体が動かないよ……」
「右腕は動かせるはずだ」
「他のところは?」
「麻痺が残ってる。無理だろうな」
「高畑」
そこで大河内が圭介を制止して、口を開く。
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