154:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:12:03.11 ID:veqilnkN0
そして水を口に運んで、飲み込んでから言う。
「汀の体調が思わしくない。今日のダイブも、想定していた結果を出すことは出来なかった」
「だが、成功したんだろう?」
「…………」
それには答えずに、圭介は足を組んだ。
そして大河内を、睨むように見る。
「そういうわけだ。引き取ってくれ」
「完全にご機嫌斜めだな」
「分かってもらえて嬉しい」
低い声でそう言って、圭介はまた一つため息をついた。
大河内はしばらく黙っていたが、かばんの中から資料を取り出して、圭介の前に滑らせた。
「……断ると言っただろう」
「赤十字の意向じゃない。この私、個人からの依頼だとしたら、どうかな」
圭介が顔を上げる。
「どういうことだ?」
「言ったままだ。私が、私個人の依頼として、患者の治療をお前達に頼んでいるんだ」
「何のメリットもないだろう」
「現在、赤十字病院は、自殺病患者にマインドスイーパーがダイブできない状態が続いている。もう三日だ。テロと言ってもいい」
その話が出た瞬間、圭介は知っていたらしく、顔をしかめた。
「いいじゃないか。供給過多な人口が減る」
「それが医者の言葉か」
「ああ」
圭介はまた水に口をつけ、言った。
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