165:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:21:16.56 ID:veqilnkN0
「あ……あの!」
振り返った汀の目に、自分を見ている少年少女たちが映る。
中には、不穏そうな表情を浮かべている子もいた。
全員同じ白い病院服なので、判別がつけにくいが、明らかに汀に敵意を向けている子もいる。
汀は一歩下がって、自分に声をかけた女の子を見た。
「何?」
「私、理緒。片平理緒(かたひらりお)って言います。あなたが、高畑汀さん……なのよね?」
理緒と名乗った女の子は、車椅子状態とは違う汀と、肩の上の猫を見て、少し戸惑った様子を見せたが、笑顔で手を差し出した。
「ご一緒できて、嬉しいわ。私、このチームのリーダーをしてるの。本当に猫を連れてるんだ。びっくりしました」
汀よりも一、二歳程年上だろうか。しかし丁寧で優しい、おっとりした口調は、どこか落ち着いた風格を漂わせている。
灰色になりかけているショートの髪を、両側に編んでいる。
可愛らしい子だった。
しかし汀は、理緒が差し出した手を、顔をしかめて見ると、小さな声で返した。
「仕事中でしょ? 余計な手間をかけたくないんだけど」
汀の態度に、数人のマインドスイーパーが表情を固くする。
しかし理緒は、一歩進み出ると、優しく汀の右手を、両手で包み込んだ。
そしてニッコリと笑う。
「そんなことないですよ。挨拶も重要な仕事の一つです。あなた、会議室では一言も返してくれなかったから……」
そういえば、会議室でのマインドスイーパー同士の計画チェックで、何度も話しかけられたことを汀は思い出した。
しかし、彼女は理緒の手を乱暴に振り払い、そして言った。
「馴れ馴れしいのは好きじゃない」
「気に障った……? ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんだけれど……」
理緒は少し表情を暗くしたが、すぐに笑顔に戻り、玉を指で指した。
「それ、私、上手に治療できます」
「……?」
怪訝そうな顔をした汀に、理緒は慌てて顔の前で手を振って続けた。
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