167:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:25:46.86 ID:veqilnkN0
   理緒が精神中核から引き抜いた黒い筋が、途中から千切れてポタリ、と地面に落ちた。 
   途端にそこがボコボコと沸騰をはじめる。 
    
   「トラウマ……?」 
    
   きょとんとして汀が呟く。 
    
   『何?』 
    
   「トラウマだ。何で……?」 
    
   汀が言っている間に、沸騰している地面の染みは広がると、直径一メートル程の円になった。 
   そこから、黒いゼリー状の物質が、沸騰しながら競りあがる。 
    
   「え……?」 
    
   ポカンとしている理緒の方に、蛇のようになった、そのゼリー物質は鎌首をもたげた。 
   次いで、その口が開き、凄まじい数の牙があらわになる。 
    
   「きゃあああああ!」 
    
   理緒が悲鳴をあげ、幼児の精神中核を抱いて、その場にしゃがみこむ。 
    
   「何してるの!」 
    
   そこで、汀が動いた。 
   座り込んでいる理緒に駆け寄り、突き飛ばす。 
   そして地面をゴロゴロと転がる。 
   二人がいた場所に、黒い巨蛇が頭から着地する。 
   そのまま地面にするすると入り込み、蛇は姿を消した。 
    
   「あ……ありがとう……」 
    
   震えながら、理緒が口を開く。 
   それをかき消すように、汀は呆けた感じで立ち尽くしているマインドスイーパー達に怒鳴った。 
    
   「トラウマの攻撃が来る! 邪魔だから早く帰って!」 
    
   『汀、状況を教えろ。何故生まれたばかりの乳幼児の頭の中に、トラウマがあるんだ!』 
    
   圭介が声を張り上げる。 
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