177:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:36:27.58 ID:veqilnkN0
「はい! 命を助けてもらいました。私、どうしてもお礼が言いたくて」
「言ってくれれば、こっちから出向いたものを」
「そんな……こちらからご挨拶に伺うのが、礼儀というものですよ」
そう言いながら、理緒はかばんの中に入っていた包みを取り出して、圭介に差し出した。
「どうぞ。上野駅で買ってきました。たまごプリンです!」
「気を使わなくていいのに」
「私、プリン大好きだよ!」
そこで汀が声を上げる。
「本当?」
理緒は圭介にプリンを渡し、汀に向き直った。
「……ね、お友達になりませんか?」
「友達?」
きょとんとして汀が聞き返す。
「うん。これも何かの縁ですもの。これからも、一緒にお仕事するかもしれませんし」
「汀でいいよ。理緒ちゃん」
そう言って、汀は素直に、理緒に右手を差し出した。
理緒は一瞬ポカンとした後、すぐに笑顔になってその手を握り返した。
「はい、汀ちゃん!」
その様子を、苦そうに圭介が見ていた。
彼は近づいてきたオーナーに、メリーゴーランドのパフェをもう一つ注文してから、水を口に運んだ。
溶けた氷が、カランと音を立てた。
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