25:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:14:48.52 ID:CGXDMCHp0
「でね、国語の小山田、美紀ともヤッたらしいよ」
「えぇ? 本当? 何で美紀なの?」
同じ会話だったが、違う声だった。
「美紀ってさ、地味だし、頭も悪いし、何もいいところないじゃん。だから、小山田を味方につけようとしたんじゃないかな」
「えぇ? 最悪。小山田、あいつヤリ捨て名人なんだよ? 美紀、バカ見ただけじゃないかなぁ」
「カンニングの話もあったじゃない。あの時の試験の担当、小山田だったらしいし」
声が聞こえなくなった。
また、汀は窪みから出て階段を降り始めた。
『随分と明確なトラウマだな。珍しい』
圭介の声に、汀は答えなかった。
「ユブユブユブユブユブユブユブ」
突然、奇妙な呟きとともに、また女の子二人組が上がってくるのが見えたからだった。
隠れた彼女の耳に、雑音交じりの声が聞こえる。
「ユブ……ザザ……先生…………やめ……」
「ザザ……ユブブ……ブブ……なんで美紀なの?」
「美紀! 山内美紀! おとなしくしろ!」
「ユブ……ザザザ…………ユブユブ……」
汀はそれを聞いて、今度は隠れずに、螺旋階段の中央部分に足をかけ、そして女の子達をやり過ごすように飛び降りた。
猫のようにふわりと着地し、汀は息をついた。
そこで、彼女の耳に、螺旋階段全体に声が反響したのが聞こえた。
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