27:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:16:02.23 ID:CGXDMCHp0
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彼女は、映画館に立っていた。
薄暗い劇場は狭く、百人も入れないほどの小さな映画館だ。
そこに、全員同じ髪型をしたマネキン人形が、同じ姿勢で背筋を伸ばし座っていた。
ビーッ、と映画の始まりを示す音が鳴る。
汀は最前列の中央に一つだけあいた席に、腰を下ろした。
3、2、1とスクリーンに文字が表示され、そして古びたテーブが再生される。
そこには、今汀がダイブしている女の子の顔が、アップで映されていた。
泣きじゃくって、必死に抵抗している。
「先生! 先生やめてください! こんなこと……こんなこと酷すぎます!」
観客のマネキン達から、男の笑い声が、一斉にドッと漏れた。
「先生! 先生やめてください! こんなこと……こんなこと酷すぎます!」
また笑い声が溢れる。
汀は興味がなさそうに、連続再生される女の子の顔を見て、そして立ち上がった。
彼女が立ち上がると同時に、ザッ、と音を立ててマネキン人形が立ち上がった。
それを見て、汀はにやぁ、と笑った。
「鬼さんこちら! 手の鳴る方へ!」
パンパンと手を叩いて、彼女は手近なマネキン人形を殴り飛ばした。
およそ少女の力とは思えないほどの威力で、マネキン人形の首が吹き飛んでいき、スクリーンの中央に大きな穴を開ける。
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