3:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/21(金) 23:56:47.90 ID:Rcy++Q4I0
「ついたよ。この人の煉獄の入り口」
『OK、それじゃ、攻撃に遭う前にそこに入って、記憶を修正してくれ』
マイクの向こう側から、まだうら若い青年の声が聞こえる。
「…………」
『おい、汀(みぎわ)、聞いてるのか?』
「…………」
返事をせずに、彼女は周りを見回した。
いつの間にか、地面の肉質にも眼球が競り出して、プツリ、と所々で音を立てながら、奇妙な汁を撒き散らしていた。
それら全てに凝視されながら、汀と呼ばれた少女は、自嘲気味に、困ったように頭を掻いた。
「見つかっちゃった」
子供がかくれんぼで鬼に見つかった時のように軽い言葉だったが、マイクの向こうの声は一瞬絶句した後、キンキンと響く声を張り上げた。
『すぐ戻れ! この患者はレベル4だぞ。入り口まで出てこれるか?』
「見つかっちゃったの。逃げられないの」
ゆっくりと、言い聞かすようにそう言って彼女はウフフと笑った。
その目は、声に反して笑っていなかった。
足元の眼球をブチュリと踏み潰し、彼女は両手を開いて大声を上げた。
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