32:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:19:30.92 ID:CGXDMCHp0
「娘さんは、小山田という教師に暴行を受け、彼の子供を孕んだ状態だったようです。私どもは、自殺病を快癒させるために、その原因のトラウマとなっていた子供を、記憶ごと堕胎させました」
「ひ……人殺し!」
立ったまま母親が悲鳴を上げる。
圭介は表情を変えずに、椅子に座ったまま肩をすくめた。
「一番大事なものをなくすと、そう言ったではありませんか。あなたもそれは同意しているはずです」
「でも……でも!」
「それに」
一指し指を一本立てて、圭介は言った。
「自殺病にかかった者は、決して幸福にはなれません。そういう病気なのです」
「なら……なら先生は……」
母親の目から涙が落ちる。
「どうして、娘を助けたのですか……」
圭介は母親から目を離し、カルテに判子を押した。
「命のみを保障するのが、私どもの仕事ですから」
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