5:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/21(金) 23:58:03.87 ID:Rcy++Q4I0
『遊ぶな!』
怒号が聞こえる。
今までぼんやりしていた表情は、まるで別人のように生き生きと輝いていた。
しかし、次の瞬間、眼球が一つ汀の脇腹に食い込んだ。
不気味な音を立てて爆ぜ、彼女の顔に、パタタタッと音を立てて汁が飛び散る。
衝撃で汀はもんどりうって肉床を転がり、したたかに後頭部を壁にぶつけた。
「あうっ!」
小さな声で叫び声を上げる。
右脇腹で爆ぜた眼球は、ベットリとガムのように病院服に張り付き、次いでアメーバを思わせる動きで、ざわついた。
それが爪を立てた子供の手の形になり、汀の服をむしりとろうとする。
彼女は、口の端からよだれをたらしながら、しかし楽しそうにそれを払いのけ、また飛んできた眼球をくるりと避けた。
『お願いだからやめてくれ、汀。患者のトラウマを広げたいのか!』
「分かってる。分かってるよ」
『分かってないから言ってるんだ。汀、早く中枢を』
そこで汀はイヤホンのスイッチを切った。
そして彼女は、ゴロゴロと地面を転がる。彼女を追って、眼球たちが宙を舞う。それを綺麗に避け、汀は、地面にぽっかりと開いた穴の中に飛び込んだ。
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