52:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:17:30.86 ID:CGXDMCHp0
*
「……悪かった。汀ちゃんの病状を、軽く考えていたよ」
診察室の椅子に座り、大河内がため息をつく。
圭介は資料をめくりながら、興味がなさそうに口を開いた。
「気に病むなよ。いつものことだ」
「…………」
「それに、お前は汀の中では『お父さん』でもあり、『恋人』でもあるんだ。多少はしゃいでゲロ吐いたって、あいつの精神衛生上プラスになってることは間違いない」
「だろうが……口が悪いぞ、高畑」
「そうか?」
顔を上げずに、彼は続けた。
「まぁ、起きた頃には忘れてるさ。それより見てみろ、大河内」
資料を彼に放り、圭介は椅子の背もたれに寄りかかった。
「あの患者の経歴だ」
「どこから取り寄せた?」
「世の中には『親切な人』が沢山いてね」
柔和な表情で彼は腕を組んだ。
大河内は資料に目を通してから、深いため息をついた。
「なぁ、この患者の治療はもうやめにしないか?」
「…………」
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