過去ログ - マインドスイーパー
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6:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/21(金) 23:59:14.28 ID:Rcy++Q4I0


一瞬視界がホワイトアウトした。
次いで彼女は、狭い、四畳半ほどの真っ白い、正方形の部屋に立っていた。
何もない部屋だった。
天井に蛍光灯が一本だけついていて、バチバチと異様な音を発している。
薄暗い空間の、汀の前には肌色のマネキンのようなものがあった。
それは体を丸め、体育座りの要領で頭を膝にうずめていた。
大きさは一般的な成人男性程だろうか。
どこにも継ぎ目がない、つるつるな表面をしている。
頭髪はない。耳も見当たらない。
汀は無造作にその前に進み出ると、腰を屈めて、頭を小さな手で掴んだ。そして顔を自分の方に向ける。
耳も、口も鼻もない。
ただ、一つだけ眼球がその顔の真ん中にあった。
眼球は虚空を注視していて、汀を見ようとしなかった。
汀は興味を失ったように頭を離した。
マネキンは緩慢に動くと、また頭を膝の間にうずめた。

「そんなに目が気になる?」

汀は静かに聞いた。

「あなたは、そんなに他人の目が気になるの?」

マネキンはゆっくりと頷いた。
何の音もない空間に、汀の声だけが響く。

「馬鹿ね」


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