65:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:29:17.05 ID:CGXDMCHp0
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病院服も破り取られ半裸で、体中に切り傷をつけた状態で、汀は高速道路に横たわっていた。
のろのろと起き上がり、空を見上げる。
曇り空で、黒い雲があたりに広がっている。
また血の雨が降るのも、時間の問題のようだ。
<死んじゃえばいいのに>
そこで、何も走っていない高速道路に、子供の声が響いた。
<お爺ちゃんなんて、死んじゃえばいいのに>
別の男性の声がした。
<お爺ちゃんは、死んだ方が幸せなのかもしれないよ>
<もうお爺ちゃんは、元にもどらないの?>
<お爺ちゃんは、幸せな世界に行ったんだよ>
<だから、ね>
<現実の世界の、この体は、さよならしよう>
キキーッ!
ブレーキの音が聞こえる。
汀は、慌てて振り向いた。
自分めがけて、巨大なトラックが迫ってくるところだった。
避けようとしたが、体が動かない。
小さな体は、ブレーキをかけたトラックにいとも簡単にはねられ、数メートル宙を待ってから、どしゃりと、糸が切れたマネキンのように地面に崩れ落ちた。
『汀!』
圭介の声が聞こえる。
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