95:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:06:29.76 ID:CGXDMCHp0
「そうだよね。一人でいると、不安だよね。私も、圭介がいてくれなきゃ、おかしくなってると思うんだ」
足元の砂を、ぐりぐりとつま先でほじり、汀は呟くように言った。
「圭介には、感謝してるんだ……」
特に、小白の反応はなかった。
また歩き出し、汀は言った。
「今度の患者さんって、死刑囚なんだって。女の人を、拷問して殺したんだって。そんな人の精神構造って、どうなってるんだろう。ね、考えただけでワクワクしない?」
ニャーと小白が鳴く。
「あなたにはまだちょっと、早かったかな」
首をかしげて汀は続けた。
「沢山の人が、私に注目してる。あの頃から考えると、信じられないことなんだ」
彼女がそう言った時だった。
突然、脇に生えていた椰子の木から、ボッと音を立てて炎が吹き上がった。
「きゃっ!」
驚いて汀がしりもちをつく。
そして彼女は、小白を抱いて
「まただ……」
と呟いた。
「逃げるよ!」
悲鳴のように叫んで、彼女は走り出した。
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