97:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:08:12.38 ID:CGXDMCHp0
「圭介!」
居もしない保護者の名前を呼んで、汀は泣きながら、はいつくばって逃げ始めた。
「やだ、来ないで! こっち来ないで!」
ドルン、と音を立ててチェーンソーのエンジンが起動し、さびた刃が高速回転を始める。
「やだ怖い! 怖いよぉ! 怖いよおお!」
絶叫して、汀はうずくまって目を閉じ、両耳をふさいだ。
ドルン、ドルンとチェーンソーが回る。
ザシュリ、ザシュリ、と男が足を踏み出す音が聞こえる。
そこで、汀は
「シャーッ!」
という声を聞いた。
驚いて顔を上げると、そこには全身の毛を逆立て、汀と男の間に四足で立ち、牙をむき出している子猫の姿があった。
「小白、危ないよ。こっちおいで、逃げるよ。小白……!」
おろおろと、汀がかすれた声で言う。
男は、さして気にした風もなく、また足を踏み出した。
「シャアアーッ」
小白が威嚇の声を上げた。
途端、白い子猫の体が、風船のようにボコッ、と膨らんだ。
それは、唖然としている汀の目の前でたちまちに大きくなると、体高五メートルはあろうかという、化け猫のような姿に変わった。
小白が、汀の体ほどもある牙をむき出して、威嚇する。
「小白、駄目!」
汀が叫ぶ。
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