2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/10/24(月) 02:22:19.39 ID:ucx2SsZ8o
羽田を発って一時間半余り、新千歳空港までは飛行機だとあっという間だが、
俺が降り立ったときにはすでに穏やかな秋の気配に包まれていた。
日本列島は縦に長いんだと改めて実感させられる。
何はともあれ、今日からこの北の台地が俺の新たな生活の場となるんだ。
俺は大学を卒業すると、都内に本社を置く中堅の某メーカーへ就職した。
研修中はさまざまな部署へ回されたが、先ごろ営業部への配属が正式に決まった。
初任地となる札幌は、俺が学生の頃に訪れて以来の憧れの地だ。
営業所への初出勤を翌週に控えて、俺は期待と不安を胸に札幌営業所へと赴いた。
所長へ着任の挨拶も済ませ、いざ帰る段になってそのトラブルは起こった。
俺が社宅へ向かうつもりだと告げると、それまで机でパソコンを操作していた先輩の女性が
ふいに怪訝そうな面持ちで顔を上げた。
どことなく幼さの残る顔立ちで、どう見ても俺より年下であることは間違いなさそうだった。
妹の桐乃と同じくらいか、もし上だとしても一つかふたつくらいだろう。
「高坂さん、今これから社宅へ向かうとおっしゃいました?」
「ええ、この足で行こうかと思ってますけど……それが、何か?」
俺は会社の規定に従い、札幌勤務の間は単身者用の社宅から通うことになっていた。
社宅と言っても会社所有の建物ではなく、民間アパートを単身の社員用に借り上げたものだ。
アパートには違いないが、そこはそれ、生活に最低限必要な家財も予め揃っているし、
何より家賃が安いのが俺には魅力だった。
「本社の総務から、連絡が行かなかったのかしら……」
何のことかと訊けば、事情があって社宅への入居日が二日ずれて日曜日になったと言う。
彼女は申し訳なさそうに謝るが、そもそも彼女が悪いわけでもあるまいし、
俺も転勤の準備やら何やらでうっかりしていて確認しなかったのがいけなかった。
103Res/78.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。