24: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:11:26.64 ID:sFmcGxH8o
ベッドの脚に手錠で繋がれている右手を見て思わず苦笑した。
あやせのヤツ、空港の厳しい手荷物検査をどうやって通り抜けたんだか。
本人に訊くのが一番なんだろうが、それは怖い……。
俺は手持ち無沙汰でベッドに寄り掛かり天井を眺めていた。
かすかに聞こえるシャワーの水音が、バーでのあやせの言葉を思い起こさせた。
『初めは本社に電話したんですが、なかなか教えてもらえなくて苦労しました』
『何とか粘ったら、お兄さんが札幌へ赴任したと教えてもらえて……』
最初の赴任先が札幌と決まったとき、俺はあやせにだけは伏せておいた。
お袋は勿論のこと、桐乃からあやせに洩れることもないとの思いが俺にはあった。
あやせと仲の良い麻奈実にもよく言い含めて出てきた。
責められても当然なのに、俺を責めるような言葉をあやせは一言も口にしなかった。
この先、俺はどうすりゃいいんだ……。
シャワーの水音が一旦止まり、しばらくするとまた聞こえてきた。
あやせのヤツ、一体どこを洗ってんだか……。
この部屋はツインルームだから俺の居たシングルよりも広いのは当然なんだが、
調度品を見てもワンランク上の部屋であることは明らかだった。
ベッドに手錠で繋がれているのも忘れ、明日の予定を頭の中で整理する。
札幌市内を案内しろと言われても、今の時期に観るところなんて思い浮かばない。
さっぽろ雪まつりの時期なら、この場所はまさに打って付けなんだがなぁ。
ホテルの真っ白いバスローブを身に纏ったあやせが、シャワーを終えて出て来た。
まさに、地上に舞い降りた天使そのものだ。
「シャワー空きましたけど……って、何で正座なんかしてるんですか?」
「……取りあえず、手錠を外してくんねぇかな」
103Res/78.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。