過去ログ - 京介「思えば遠くへ来たもんだ」
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26: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:12:37.23 ID:sFmcGxH8o

「俺がシャワーを浴びてる間にちゃんと浴衣に着替えておけよ。
 いつまでもそんな格好してっと、いくら俺だって本当に襲っちまうかもしんねぇからな」

「お兄さんはそんなことをする人じゃないって知っていますから」

ふんっ、今日のところは石鹸の香りだけで我慢してやるさ。
まったく、気軽にセクハラできた昔が懐かしいぜ。
いつの間に俺の中で、あやせが占める割合が大きくなっちまったのがいけねぇな。

「お兄さん、いつまでわたしに見惚れているんですか?
 そんなふうに見られていたら、わたしが着替えられないじゃないですか」

「別に、そういうつもりで見てたわけじゃ……ま、いいさ」

「お兄さん、シャワーを浴びる前にも水分補給が大切なこと、知ってます?」

「いや、風呂上りに水を一杯ってのは聞いたことがあんけど……」

あやせがペットボトルを差し出した。

「ミネラルウォーター?」

シャワーを浴びる前にも水分補給が大切とか、どこでそんな知識を仕入れたんだか。
あやせから貰ったミネラルウォーターは少し苦味があって飲み辛かったけど、
俺はそんなあやせのやさしい心遣いがとても嬉しかった。

あやせが使った後のユニットバスは、ほのかな温かさと石鹸の甘い香りで満ちていた。
俺とあやせが同じホテルの同じ部屋に泊まり、まさか同じシャワーを使う羽目になるとは、
札幌に着いたときには考えもしなかったさ。

シャワーを浴びてバスローブ姿で部屋へ戻り、夜景でもと窓際に近づいたそのとき、
俺は急激な眠気に襲われてそのままベッドに倒れこんだ。

その日、俺の記憶はそこで途切れた。


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