過去ログ - 京介「思えば遠くへ来たもんだ」
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33: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:18:55.54 ID:sFmcGxH8o

翌日、朝食を済ませると二人揃ってホテルをチェックアウトした。

「じゃあ俺は社宅へ行くけど、何かあったらすぐに連絡しろよ」

「分かってます。それでは、お兄さんもお気をつけて」

あやせを見送ってから、俺は営業所であらかじめ教えてもらった不動産屋へ向かった。
不動産屋で社宅の部屋の鍵を受け取るためだ。

社宅は会社から歩いて三十分ほどの所で、周りは閑静な住宅街だった。
スーパーやコンビニも近くにあるし、これなら急な買物でも便利だ。

社宅は築年数もまだ浅く、会社の資料で見たときの感じよりもずっと新しい。
部屋の中はリフォームしたばかりなのか、青畳のイ草の香りがして新鮮だった。
台所は小さなテーブルセットくらいは置けるスペースもあるし、
何よりも六畳の部屋が二つもあるんだから一人暮しの俺には申し分がない。

備え付けの家具は別にしても、家電製品はどれもこれも新品だった。
ここまで揃っていれば、新しく買うとしても食器とテーブルセットくらいかもな。
まあ、一人なんだし卓袱台でもいいんだけどさ。
部屋の隅には、宅配便の営業所で預かってもらっていた荷物がきれいに積まれていた。
不動産屋が気を利かせ、昨日のうちに運び込んでおいてくれたんだ。
俺はざっと部屋を掃除してから、それらの荷物を解き始めた。

その日の夜、俺は寝るまであやせからの連絡を待っていた。
しかし、無事を知らせるメールがあっただけで、あやせが電話を掛けてくることはなかった。
いっそのこと俺の方から掛けてみようかと一旦は携帯を手に取ったんだが、
考えあぐねた末に携帯を枕元に置き、部屋の明かりを消してそのまま床に就いた。


(つづく)


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