過去ログ - 向日葵「もう、私がいなくても平気ですわね」
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624: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:52:14.16 ID:20cc3qmSo
 ひらがなばかりで書かれた──────“記入した”とはとても言えない、婚姻届。

 わざわざ「夫」を「つま」に書き直してまで、二人を並べてある。

 その下には、お互いのことを描いた絵が。
以下略



625: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:53:09.62 ID:20cc3qmSo
「なんでねーちゃんが持ってるのかと思ったよ……」

 撫子いわく、「保証人だから」だそうである。

 おそらくは、二人が書き散らした後、こっそり回収していたのだろう。
以下略



626: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:54:00.97 ID:20cc3qmSo
 ならば。

 あのころから変わってないというならば、答えは決まっている。

 二人は、
以下略



627: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:55:13.00 ID:20cc3qmSo
「櫻子」

 いつか鏡で見た自分の顔より、さらにこけてしまった、その頬をなでる。

 喧嘩のときにつねるとやわらかな弾力のあった、その頬を。
以下略



628: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:56:04.70 ID:20cc3qmSo
 櫻子は泣かなかった。

 先月のように、泣きじゃくったりはせず、ただ向日葵を見つめていた。

 だから、その分も向日葵が泣いた。
以下略



629: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:56:41.40 ID:20cc3qmSo

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以下略



630: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:57:14.85 ID:20cc3qmSo
「ねえ」

「なに?」

「大好きだよ」
以下略



631: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:57:48.40 ID:20cc3qmSo
「……ねえ」

「なに?」

「キス、してみよっか」
以下略



632: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:58:32.18 ID:20cc3qmSo
 二人は、同じことを考えて笑った。

 二人の初めてのキスは──────本当はいつが“初めて”だったのか、覚えていなかったから。

 くすくす笑った後、二人はもう一度唇を合わせた。
以下略



633: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 03:59:10.39 ID:20cc3qmSo



「向日葵」

以下略



634: ◆hoVWUTvbEQ6i[saga]
2012/01/01(日) 04:00:15.97 ID:20cc3qmSo
 時計の針が、日付を変える。

 新しい年の、始まりの夜に。

 止まっていた関係が動き出す。
以下略



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