過去ログ - 淫魔「んふふ」 修道女「闇の気配がする……」
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(沖縄県)
2011/11/06(日) 12:23:58.42 ID:MJKDne9Zo
廊下
幼馴染みを抱いて生徒会室から出てきた男は、最初下駄箱のある昇降口に向かおうとしたが、歩く距離や靴を履き替える時間が惜しく、体育館やプールなどとは一番離れた、教職員用の玄関へと向かった。
それは期せずして、淫魔の惨殺された体育館から離れる最良の選択となった。
沈みかけた血のように赤い夕日の中、力の抜けた幼馴染の身体を抱き上げ、男は教職員用の玄関へと急ぐ。
なるべく足音を立てないように、しかしできるだけ急いで、男は必死で進んだ。
修道女「待ちなさい」
静まりかえった校舎の中、あとわずかで玄関にたどり着くというところで、男は呼び止められた。
強者は足音を響かせて、男に迫る。
素手ならまだしも、幼馴染を抱えている。
逃げられないと悟った男は、幼馴染を壁際に座らせ、振り返った。
男「淫魔は?」
修道女「浄化した。殺したと言った方が、あなたにはわかりやすいかしら」
男「そんなこと、信じられるか! あの淫魔が……」
修道女「別に、信じてもらわなくて結構です。あれの最後、とても見られたものではありませんでしたから……それに」
十字架の短剣をひらめかせ、修道女は男を見据えた。
修道女「あなたたちには、あれのこと、忘れて貰います」
男「そ……そんなナイフ、怖くねえぞ?」
修道女「そうですか。あれを引き裂いたのも、この短剣なんですよ? それでも?」
男「く……」
修道女「大丈夫、この短剣は人の身体に害をなしません。胸に突き刺した人間の悪魔にかけられた術を破壊し、悪魔に関する記憶をすべて消し去り、あり得べき姿に戻すだけ。痛みもありません」
男「……ウソをつくなよ」
修道女「いいえ、ウソなんてついていません」
男「幼馴染は傷ついてたぞ、身も心も、おれが見てる前で、ボロボロになっていった。おれの腕の中で痛みと絶望に潰されていった。それでも……それでも傷つけないっていうのか!」
修道女「たしかに、コレはまれなケースです。不幸な出来事でした。ですが、幼馴染さんに起きたことは、悪魔の術が働かなければ、あり得たはずの事実です。受け入れてください」
男「ふざけんな!」
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