153:終了は次回に変更[saga sage]
2011/12/10(土) 18:54:49.51 ID:rWBMrX3Fo
「さて、そろそろ飽きてきたし……この辺で殺しておくか」
あまりにも自分勝手な事を女は言うが、それを止められる者は今この場には居ない。
五和の体、つまり上条当麻の身体は傷だらけであり、夥しい程の血が流れ出している。
「じゃあね、楽しませてもらったから一発で消してアゲル。恨まな――ああ?」
「……やめ、ろ……五和から、離れ……」
上条は五和を護るために残った力を振り絞り、女の足にしがみついた。
しかしその力はとても弱々しく、蹴りを再び入れられるとまた倒れてしまう程であった。
それでも上条は諦めない、再び女の足元にしがみつき行かせるものかと力を込める。
「……うざったいわね、男以外は殺す必要無いから見逃してあげようと思ってたって言ったじゃない。
余計な事しちゃって、そこまで死にたいのかしら? それが望みなら容赦なく殺すけど」
そう言いながら女は、足元にしがみついた上条を足の力だけでそのまま前方に飛ばす。
飛ばされた上条の倒れた場所は五和の近くであり、沈黙したままの彼女の顔を見る事が出来た。
その「自分」の顔は殴られ、踏みつけられ、出血も酷く見るのを躊躇う程の悲惨な状態であった。
「……い、五和……起きてくれ、頼む……死なないで、……くれ」
上条は必死の思いで五和に声を掛けるがそれでも目を覚まさない。
「感謝しなさい、目の前で殺してあげるから。せめて最後を見届けてやりな。
まあ、そんな近くに居たら巻き添えで一緒に死んじゃうかもね? それも良いかもしれない、むしろ最高か」
女はそう言うと、傷だらけの二人を見下しながら笑い出した。
その表情は残忍であり、人間を殺すという事に何の迷いも無いのだろう。
後は女はその能力を使い上条当麻を亡き者にするだけであった。
しかし、最後まで上条はそれを許さず抵抗を続ける。五和の上に覆いかぶさるようにし、無言で彼女を護り続ける。
力も無い、戦う術も無い。それでも、絶対に護りたいものがあった。
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