162:以下、あけまして[saga sage]
2012/01/04(水) 02:06:51.03 ID:AiUnSeA3o
「……っ!? 五和!?」
とてつもない力で手を引っ張られた上条は、そのまま後ろへと倒れていった。
その刹那、入れ替わるように立ち上がり、すれ違っていく自分の顔を上条は見た。
そして、声が聞こえた。それはとても弱々しかったが、優しく慈愛に満ち溢れたものだった。
「上条さん、ありがとうございます……今度は、私が――」
「お前、何を――」
そう言い終わる前に上条は地面に倒れた。
目の前に広がる光景は、女に相対する自分、しかしその精神は自分のものでは無い。
すぐに上条は気付いた、五和は命を捧げようとしている。
「五和、やめろ! そんな事お前がしなくてもいいんだ!」
「ごめんなさい、上条さん。……でも、私はもう戻りたくないんです」
それが彼女の最後の言葉だった。五和の覚悟を女は察し、そして手を前に突き出した。
「うん、やっぱり女を護るってのが男ってヤツよね。カッコいい最後だ、そのまま死んじまいな」
女の周りが光り、その光は圧縮されていく。それは死の宣告であり、どうしようもない現実である。
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