9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県)[sage saga]
2011/11/08(火) 18:48:16.75 ID:vKEitTMY0
とにかく突拍子も無さ過ぎてどこから突っ込んでいいか分からない。
それに、彼女の言ったとおりの時期にアイツが記憶を無くしていたとしたら……
あの寮の盛夏祭の時が記憶を失った直後か。
そして自動販売機でアイツが二千円札を飲まれて、妹に会って……
――なんだって?アイツはほぼ初対面の私を命がけで?
記憶を失うって事はそれまでの自分が死んでしまう事に等しい。
この子だって毎年殺され続けたようなもんだ。
しかし、アイツはそれを周りに気付かせまいとした。
自分を親しく思っている人が悲しまないように。
なんて優しいペテン師なんだろう。
そしてなんて悲しいヒーロー。
アイツはほとんど見ず知らずの私を命がけで救ってくれた。
もちろん感謝したし、惚れた。
自分を命がけで助けてくれるヒーローに惚れない女がいたらお目にかかりたい。
それが恋だと気が付いたのは最近だけど。
しかし……それは死んでしまう前のアイツに。
私の記憶の中のアイツに。
一晩中追いかけっこをしたアイツに、だ。
もちろん、私にとっては今のアイツとどこが違うって訳じゃないけど。
でもアイツにとっては違うだろう。
インデックスだって私だって、死ぬ前のアイツに感謝して懐いて。
アイツは私達がそれを知ると悲しんだり責任感を感じたりするだろうと思って隠し通した。
助けても救っても、感謝されるのは死ぬ前のアイツ。
生きているはずの今のアイツは救われない。
死んでしまった事すら隠して死に続けるようなもんだ。
あまりにも酷い。可哀相過ぎる。
浮かぶ涙をまた彼女には見せるわけにはいかない。
この子も不幸せな自分を見せずに笑顔で頑張って話してくれたんだ。
無言で洗面所に立ち去った。
顔を洗ってタオルを借りて拭いて、両手で頬を叩いて気合を入れる。
今度は自分が語る番だ。インデックスの前に戻る。
「いろいろ聞きたい事はあるけど、まずは私の事を話すわね」
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