過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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973: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/06(火) 04:28:18.53 ID:H3OHunjxo
少しの休息の後、勇者は浴場へ向かった。
二回目だというのに、不釣合いに広い浴場は、馴染んだ我が家の風呂そのものだった。

湯煙の中、適温に保たれた湯に体を沈める。
肌から染み入るような、体表から毒素が抜けるような、何とも言えない至福の時。
一瞬の至福の時を超えると、重苦しく、斧刃のように心に圧し掛かる事実。

明日の夜に眠り、目が覚めると自分は消えている。
魔王の前に、対峙する事になる。
それを今さら恐れたりはしない。
魔王を倒すという気概は、微塵も薄れていない。

だが、失われる。
この世界の、全てを。
堕女神の料理を味わえない。
サキュバス達との交合の快楽も。
この素晴らしく満たされた時間の、全てが。


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