42:にゃんこ[saga]
2011/12/03(土) 20:53:51.70 ID:i/+JyzFt0
ワタシが何かを言う前に堂郷先生がヒムロ先輩に突っ込んだ。
無表情なまま、ヒムロ先輩が親指を立てる。
多分、ちゃんと突っ込んでくれたのが嬉しかったのだろう。
苦笑しながら、春日野先生がワタシに詳細を説明してくれる。
「『ほぼろ』ってのは広島風お好み焼き屋さんの名前よ。
私達が梶原さんを捜してる間に、部長君に皆を引き連れて行ってもらってるのよ。
皆もお昼時でお腹が空いてるだろうし、
バラバラで貴方を捜して二重遭難になっても困るもんね」
「春日野先生の説明通りだ、沢渡。
だから、そんなに警戒した様子を見せるな。
流石の先生でも傷付くぞー、それは」
堂郷先生は肩を落としていたけど、その表情は笑顔だった。
警戒した様子と言ってはいたけど、
『ほぼろ』が広島風お好み焼き屋さんだという事を分かっていたらしく、
沢渡さんの方はあんまり警戒した様子ではなかった。
警戒していたのは沢渡さんよりも三次さんの方だ。
ヒムロ先輩がボケた後、泣きそうな顔で沢渡さんを庇う様に身体を割り込ませていた。
やっぱり三次さんは沢渡さんの事がとても大事なのだ。
「氷室とか言ったよな?
おまえのせいで三次に嫌われてしまったじゃないか」
語調は厳しく、声色は優しく、堂郷先生が続ける。
流石のヒムロ先輩もネタに走り過ぎたと思ったのか、無表情ながら頭を下げた。
「申し訳ございません。
折角習得した広島の知識を披露したいと意気込み過ぎてましたね。
失敬しました」
「そんなに謝る必要は無いぞ。
しかし、『ほぼろ』の意味を知っているとは、おまえも勉強家じゃないか。
広島の事を知ろうと思ってくれるのは嬉しい事だ。
後はその知識の披露所を見極めてくれると完璧だな。
……っと、そういうわけだ、三次、沢渡。
これから『ほぼろ』でほぼろ焼きの『いつもの』を奢ってやろう。
そこで美術部の皆と自己紹介もしてくれ」
『いつもの』とは何なのだろう。
沢渡さんの表情を覗いてみると、少しだけ困ったように笑っていた。
多分、何か隠された秘密があるのだろうが、
それは今聞かなくても後々に分かる事だろう。
ワタシはその時を楽しみにしながら、軽く空を見上げてみた。
いい天気だった。
広島の空も福岡の空と同じ様に輝いていたけど、完全に同じ空ではない気がした。
福岡の空とは少しだけ違う空色、空模様がワタシ達のずっと上に展開されている。
深呼吸。
広島の空気がワタシの身体に沁み込んだ。
93Res/127.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。