過去ログ - 空「楓さがし」
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8:にゃんこ[saga]
2011/11/23(水) 19:28:59.76 ID:sZ6AzS2D0
この生き物は一体何なのだろう。
その生き物はふわふわもくもくで、身体中が柔らかそうな毛に覆われていた。
色はピンク……、いや、桃色か?
濃いピンク色と呼ぶよりは、美味しそうに実った淡い桃の色が近いと思う。
多分、ネコ……だと思うけど、確信は持てない。
ネコと呼ぶには、私の知ってるネコとは何か凄く違ってる。
地元でもたまに変わったネコを見かける事はあるけど、
この生き物はそんなワタシが今まで見てきたネコの常識からは大きく外れているのだ。

ワタシの地元のボウリング場には、
何故か『社長』と呼ばれる白いネコみたいなマスコットがある。
あのマスコットもネコなのか何なのか分かりにくい生き物だったが、
この生き物もそのマスコットに負けないくらい不思議な生き物だった。

ワタシは思わず脇に抱えていたスケッチブックを開いた。
この生き物をスケッチしなければいけない気がしたのだ。
いつか誰かにこの生き物の事を説明する事があるとして、
口下手なワタシではこの生き物の事を上手く説明出来ないと思う。
そんな時のためにも、ワタシはこのネコ(?)をスケッチしておくべきなのだと思った。

でも、そんな事より何より、
ワタシはこの生き物を自分のスケッチブックに描いておきたかった。
ワタシは絵は結構好きだ。
学校では美術部に所属しているし、
出掛ける時はいつもスケッチブックを持ち歩いている。
ワタシは心に残った風景、動物、人なんかがあると、
スケッチブックの中に残さずにはいられない性格なのだ。
きっとスケッチブックはワタシにとってカメラ代わりで、
絵は自分の心に残った記憶を保存する付箋なのだろうと思う。

だったら、カメラを持ち歩けばいいじゃないかと言われる事もある。
ワタシもそう思う事はあるのだけれど……、何かカメラでは駄目なのだ。
カメラや写真が嫌いなわけじゃない。
人が撮った写真を見るのはとても楽しいし、心が弾む。
多分、単にカメラより絵の方が私の性に合ってるってだけなんだろう。


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