過去ログ - 初春「私に任せてください、垣根さん」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東京都)
[sage saga]
2011/11/22(火) 23:27:42.28 ID:D8ng2/JZ0
触れた硬貨から伝わる、ねちょ、とした感覚。
視線をおそるおそる上げ、路地裏の暗闇に目を凝らした、その先に。
「――――っ!」
服の色も分からないくらい血まみれになった人がひとり、倒れ伏していた。
悲鳴が出そうになるのをすんでのところで堪えた。『風紀委員』としての使命が、かろうじて初春を動かしていた。
震える声で救急車に電話をかける。幸いにもここは病院の目と鼻の先だ。大丈夫。
何があったかはまったく分からないが、きっと助かる。そう自分に言いきかせる。
「も、もうすぐ救急車がきますから! しっかりしてください……!」
聞こえていないだろうことも構わず声をかけた。血にひたってぴくりともしないその人は、
よく見ると病院の検査服のようなものを着ているようだった。所々血で固まった毛先を払い、
顔に付いていた赤を指で優しくぬぐって、
「っ! ひ、」
今度こそ、悲鳴が漏れるのをとめられなかった。
(この、人は)
忘れもしない。
あの日。あの、十月九日の喫茶店での出来事。
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